2011年4月5日火曜日

新しい年度を迎えるにあたって・・・

前回のブログの更新から、また時間が経ってしまいました・・・

 本来であればアメリカ研修旅行記なども投稿するつもりでいたのですが、大学附属接骨院立ち上げや長女の高校受験などもあり手が回らなかったところにあの震災・・・

 東日本大震災でお亡くなりになられた方々に深くお悔やみを申しあげるとともに、被害に遭われた皆様及びご家族の皆様に心よりお見舞い申しあげます。

 さて、新年度がいよいよ始まりましたが、私ホル塩は今一つやる気が出ません。大学附属接骨院には2月から来ていただいている佐々木先生に加えて、専門学校での教え子でアメリカ研修を共にした畑島先生(3月までは畑島君と呼んでいましたけど、今はもう立派な先生ですね)も着任され、激務からは解放されたのですが・・・


 現政権の災害に対するリーダーシップのなさを目の当たりにして、非難しようにも、振り返れば、自分と関わりのある学生(MTIの外の学生も含めて)25人弱の集団にすら進むべき道筋すら見せられないってどうなの、となってしまうのですね。

 これまで自分は、相手を「信じ、待ち、許してやること」をモットーに教育活動してきました。同じ20歳の学生でもそれぞれ成熟度が異なるので、他者と一線上には並べず、その学生個人が学びたい、と思ったときに、学ぶ機会や材料を提供できるようにと、ある意味で受け身の姿勢でいました。あるときMTI以外の学生が学びたい、と言ってきたときには、そこにMTIを絡めるように強引に持っていったりしたこともありましたが、基本は学生の「学びたい」という気持ちがないうちは動かないようにしてきました。

 ですが最近、自分が思い描いていた学びの場と、学生が望む学びの場のイメージが違うのではないか、と考えるようになりました。でもこのまま学生が「学びたい」となるのを待ってもその学生に残された自分との時間を考えるともう何も教える機会を持てないまま終わるかもしれない。そう思うと、強烈に焦りを感じます。

 MTI向けというわけではありませんでしたが、これまで少ないながらもいろいろ勉強できる場を用意してきたつもりです。NPB球団と強力なパイプを持つ硬式中学野球チームや、沖縄空手の本場に乗り込んで本家を凌駕する、兵庫で最も規模の大きい大会を主催する空手道場、確かに、メジャーリーガーやオリンピックメダリストというわけではありませんが、いきなり学生がそういうハイプロファイルの選手やチームと関わって、ただ見るだけで終わるより、学生でも実際に相手の身体に触れても喜んでもらえる、それなりに学べる場だと自負してきました。

 学外の活動に参加する場合、声をかけて実際に一緒に帯同することになるまでにいくつかのステージを学生はくぐってきます。1段階目は、「呼ばれたから行く」というもの。先生が来いっていうから・・・と自分に言い聞かせて来るのですね。そしてある段階からは、「自分が行きたい時もしくはイベントのみ参加する」、という段階。野球は行きたいけど空手は・・・とか、今度の日曜なら行きたいのだけど、土曜はデートがあって・・・という段階ですね。そこからついには、「とにかく空手だろうが野球だろうが、どっちに行っても経験が積めるから、とにかくそういった活動を軸に自分の予定を立てる」という段階。ここまで来れば能力は放っておいても身についていきます。

 自分も留学中、学部の最終学年で野球部を担当した時は、NATAが課する実習時間、1500時間はとうの昔に通り過ぎ、2500時間に達するかという状態でした。後輩には「俺達はここに仕事しに来てるんじゃない、学びに来てるんだという謙虚さを持て」とか指導しながらも、心の中では「俺がいないとこの野球部は回らないんだ」と勝手に一人思い上がってやってるのが楽しかったものです。

 ちょっと話は変わって、組長がよく「まずは母校にいって後輩の面倒を見ろ」と指導しています。これはビギナーにはとても素晴らしい教えですが、ある程度経験を積んだら、これでは少し足りないものがあるのではないか、と思います。なぜなら、その現場は自分が育った場所、そこにいる人たちはその学生たちのやろうとしていることを基本的に理解してくれている人なわけで、ある意味母親の胎内にいるような環境なんですね。加えて学生のうちなら相手も給料を払わないでもいいので感謝感激というわけです。これがお金を下さい、となったとたんどうなるか、相手の眼はとたんにシビアになります。これにこれだけ払う価値があるのか、と。

 また早稲田実業とかATCを雇っているような有名な学校出身ならともかく、母校での活動では、現場のニーズはわかったとしても、それにどう応えるか、その応え方の是非については誰も判定してくれません。投げたボールがストライクだったのかボールだったのか、何キロ出てたのか、自分で判定するしかありません。人によっては自信満々になる学生もいますし、意気消沈する学生もいます。

 だから自分は学生から「何所どこでこういう活動をしてきました」と言われても、実際にその仕事を見ていないので評価のしようがない。ではどうやってそういう学生を現場に連れていって大丈夫かどうか見分けているのか?それは普段の行いを注意深く見るしかありません。たとえば成績評価につながらないような雑用を頼んだときの働きとか、専門科目の成績に対して一般教養も同じくらい頑張っているのか、とか。

 自分(ホル塩)が頼んだこともテキトーに処理してしまうような学生なら、現場に出してそこにいる人たちから頼まれたこともテキトーになるに決まってます。

 自分は自分の行く現場からはちゃんとギャラをもらっています。連れて行った学生が何か問題を起こすと自分の収入が減ります。ギャラをもらわないこともありますが、学生が主体で動くことを了承してもらった場合は「学生が主に仕事をするのでもらうわけにはいきません」、というすみ分けです。その場合でも何かあると出入り禁止になってしまいます。誰でもいいから連れていく、という勇気はなかなか持てないものです。

 もうこれ以上は自分の手の内を話しませんが、もし誰かから「何所どこでこういう機会があるから一緒に来るか」と言われた時はそれがスポーツの現場だろうと、施術所だろうと、シンポジウムだろうと、誘った人の中ではそういった葛藤が少なからずあった末に声をかけていると思って下さい。世の中には自分ほどケツの穴の小さい人は少ないとは思いますが、その葛藤が全くない人などいないはずです。



 春休みに山口まで行ってきました。アメリカで貪るように読んだ吉田松陰の本、留学を終えて7年たってやっと萩までたどりつきました。松陰先生がたどり着けなかったアメリカに9年もいながら、そして教育の現場に合計5年も居させていただきながら、松陰先生が松下村塾での2年弱の間になされた仕事の1万分の1すら成し遂げていない自分が恥ずかしいですが、その現実を背負ってこれからも頑張ります。

11 件のコメント:

  1. この文章を読ませていただいて、
    今、自分の中での、感じ方?考え方?そういったものが、色々と混乱?していて、自分を見つめ直さないとと感じています。

    ブログのコメントに、私の勝手を書かせてもらっていいのか、わかりませんが、正直な自分の真情をコメントに残させていただきます。

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  2. 文中にありがたく登場させていただきましたので、
    応戦しようとしたらとんでもない文章になったのでまたじっくりディスカッションしませんか?(笑)
    なんならMTIに私が言ってパネルディスカッションしますか!(笑)
    そういや、ATのY先生も「私は母校に行くのは嫌です。対等に扱われないから」と言ってました。

    多分、私が言っていることと、ホル師の言っていることは違う話だと思います。

    私のは入り口の話です。初級編であり一般大衆コースであり、体験コースです。もっとちゃんと言えば野球のみの世界です。

    ホル師のはエリートプロフェッショナルコースだと思います。

    ですから、いつの日か入口からプロコースまで進んでくれる学生さんが出てきたらいいな~と思います。

    まずは自分の力を出せる場所って貴重じゃないですか!

    私の『母校にいくススメ』はその具体案を出しているまでです。
    まずは恵まれた環境で技術を発揮することに集中できたらいいんじゃないかと思ってます。『環境の獲得』と『技術の習得』を並行するのは至難の業だと思ってます。
    もちろんそこがゴールになるわけはありません。それを「俺の力だ」と言ったらそれは危険です。

    書いてて思い出しましたが、かつて私のブログで「ハンデ論」を書きましたが、ハンデをいただいていることを『自覚して』誠意を持って学生のうちに頑張ることが重要ではないでしょうか?

    ハンデに無自覚な時は気づかせるのも指導ですよね。

    ホル師の理想は私も賛成です!


    ホル師にガンガン付いていけるような学生さんが出てきたらいいですね!生活力もありそうですし!
    期待してます!

    外で評価される大物を育ててください!

    失礼な言葉がありましたら申し訳ありません。

    こんなやり取りって学生さん楽しいでしょうか?
    ご意見聞けたら嬉しいです。

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  3. あれえ?
    一回、投稿したんですがアップされませんでした。
    時間差で2連発になったらすいません。

    なんだか、ホル師の意にそぐわない指導をしてしまっているようで申し訳ありません。。。。。

    とはいえ、私はいつもホル師を尊重してるのに・・・
    やっと登場したと思ったらこんな話題とは・・・

    そちらではそういう扱いなんですね・・・・(泣)

    どおりでOdaさんにバカにされると思いました・・・

    な~んて言ったらハラハラする学生さんが出そうなので・・・(笑)

    「母校へ・・・」のアドバイスは
    私は自身のブログでも書いているところの、「ハンデ論」なんです。

    活動できる環境の獲得と、技術の習得の両立はナカナカ厳しいものだと思います。ですから環境に関してはハンデをいただける母校に甘えるとして、技術の習得に集中できればいいのではないかと考えています。
    もちろんハンデは自覚しなきゃいけないですが・・・

    私の話は入り口です。

    ホル師の話はプロコースです!

    だからMTIの学生さんは自信を持ってくださいよ!

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  4. 組長、僕も組長の話は入り口であるとちゃんと前置きしたつもりなんですけど、伝わっていなかったらごめんなさいです。

    「ハンデ論」を理解できるタイミングって、人それぞれだとここにきて凄く感じます。年齢とか学年じゃないんだ・・・と。

    組長が入り口を示してくれるので、僕もこういう話につなげることができています。

    中に入ってしまえば、資格を取った後だろうと何年経験したあとだろうと正解のない海をもがき続けるだけですから、僕が行ってることが正しいなんて、これっぽっちも思ってませんよ、あくまで個人的な考えですから・・・

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  5. 組長のハンデ論

    http://sports.geocities.yahoo.co.jp/gl/healthatpt/view/20101111

    http://sports.geocities.yahoo.co.jp/gl/healthatpt/view/20101113

    http://sports.geocities.yahoo.co.jp/gl/healthatpt/view/20101114

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  6. 感慨深く読ませていただきました。
    組長のハンデ論も再度読ませていただきました。

    >ではどうやってそういう学生を現場に連れていって大丈夫かどうか見分けているのか?それは・・・

    自分の知らない間に先生方は見てくれているんだと感じました。
    それを踏まえて、いろんな現場に参加できる機会を与えていただけることは、なんてありがたいことだったんだろうとつくづく感じました。

    組長のブログじゃないですが、それこそ私の場合、参加こそするもののいつまでも学生気分でした。学生やし…と逃げてました。ハンデを感じてこその活動ですね。

    とても考えさせられました。学生としての立場から今までなかなか気付けなかったところな気がします。
    ありがとうございました。

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  7. 何度もブログ読み替えさせて頂きました。
    改めて僕自身、気持ちを引き締めていかないといけないなと痛感しました。

    >「とにかく空手だろうが野球だろうが、どっちに行っても経験が積めるから、とにかくそういった活動を軸に自分の予定を立てる」という段階。ここまで来れば能力は放っておいても身についていきます。

    僕は、勉強ができなくなるくらいならバイトはしなくてもいいから、勉強を精一杯やりなさいと言ってくれる両親のおかげもあり、活動を中心とした予定をたてる事ができています。本当に親には感謝です。もちろん、このような活動の場を僕に提供してくださっている先生方にも感謝の気持ちでいっぱいです。


    初めて現場へ連れて行って頂いたあの頃に比べて、自分自身は少しでも成長できたのかな・・・


    文頭にも言いましたが
    もう一度気を引き締め直して、頑張っていきたいと思います。
    これからも御指導御鞭撻のほど、よろしくお願いします。

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  8. 人と同じことはしたくありません。
    だから人より動いて人より話す
    これをモットーに3年まで母校で指導し、バイトで指導し
    自分なりに活動してきましたがまだまだ物足りません。
    この記事を何回も読み返させてもらいました
    人より学びたいから先生に聞き、
    人より学びたいから指導を勉強し
    全てはこれからに繋がればよいなと思っていました。
    2年時に先生のおかげで完全に火の粉が炎に変わりました
    また新たに気持ちを入れて精一杯努力し何事にも貪欲であれるように
    頑張っていきます!!
    この記事を読んで色々考えることがありました。
    できるだけ自分なりに意見をまとめてまた先生に話せたらなと思います。
    これからもたくさん迷惑をおかけするかもしれませんが
    よろしくお願いします。

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  9. 繰り返し自分を見つめ直しながら読ませて頂きました。

    思い返してみると、私はこれまで自分に何かと言い訳をつけて学ぶ事から逃げていたんだと思います。
    まだやりたいことが決まってないから
    トレーナーになりたいわけじゃないから
    全て受け身の自分を捨てることのできない自分への言い訳だったと思います。

    やりたい事が決まってないからこそ学ぶべきだし、学びたいと意思表示しなければなにも始まらない・・・

    将来の漠然とした不安ばかりが頭にあって学ぶために大学に来ている事を忘れかけていました。
    これから自分の自信のなさを学ぶ事によって改善していけたらなと思います。

    まだ先生が伝えたいことをきちんと理解できていませんが学べる最後の1年を大事にしていきたいです。

    貴重なお話ありがとうございました。
    これからもよろしくお願いします。

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  10. MTIのみなさん、こんばんは(^^)

    今日いきなり講義中にお邪魔した、OBの竹田です。

    すごくいい雰囲気でみなさん勉強されてましたね!

    みんな目が生き生きしてて!

    実際、卒業して社会に出るとあのような講演もあまりないし、もちろんただなんてことは絶対ないですからね。

    羨ましいかぎりです…

    なので、必ずお邪魔します!
    といいより、一緒に僕も勉強したいです!
    宜しくお願いしますね!

    みなさん頑張って下さい!!

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  11. 竹田さん、昨日はありがとうございました!!
    HPS3年小田です。
    昨日久々に竹田さんにお会いできて嬉しかったです。

    >実際、卒業して社会に出るとあのような講演もあまりないし、もちろんただなんてことは絶対ないですからね。

    あまり深く考えてなかったです。改めて、今の環境に感謝しないといけないなと思いました。

    竹田さん、また来ていただける日を楽しみにしています!!

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