2012年12月22日土曜日

これまでを振り返って…


受け持っているヘルスプロモーション整復学科4年生(2期生)の卒業試験の監督に行きました。MTIのメンバーだった学生も、今は3月に迫った国家試験に向けて勉強した成果をマークシートにぶつけていました。

2時間半の間、ただただ何も言わず、静まりかえった教室の中を歩いていますと、これまでの4年間が走馬灯のように浮かび上がります…非常に月並みな表現ですが(笑)。

大学進学のために制限されていたことから解放され、与えられた自由とどう向き合うか、「生徒から学生」へのアジャストメントに戸惑う1年、解剖学、生理学そして運動学など1年で習った基礎がどのように専門の分野に結び付いて行くのか、を知る2年、治療の技術を身につけて行く3年…と来て、4年生で待ち構えるのは、「国家試験に合格するため」の勉強。そうやって振り返ると4年という期間の中で、自分が興味を持ったことを深く追求できるのは3年、あるいは4年の前半まで、さらに、1年のうちは、基礎が身についていないだけでなく、「そもそも何に興味があるのか」すら明確ではありませんから(だからMTIは2年生から入部可)、大学生活4年間のうち長くて実質2年半ほどしか「自由に学べる」期間はないのですね…

その短い期間のなかで、卒業して資格を取得したあとも、継続して追い求めてみよう、という事柄に出会えることは何にもまして財産ではないかなと思います。

顧問のアメリカでの学生時代を振り返ると、2年の「バイオメカニクス基礎(今顧問がHPS学科で受け持っている基礎運動学の続編)」で出された課題に「投球で肘にかかる負担」を選び、大学院1年の「バイオメカニクスの応用」では、学部2年の課題で集めた文献をそのまま使える(これから読む文献の量がセーブできる)、何かあれば研修先である野球部のコーチや大学野球ATC歴20年以上の師匠(足関節のテーピング20秒切るあのオヤジです)に質問できる、という後ろ向きな理由から(笑)「肘の内側側副靱帯損傷の予防」を選び、いつしか、母校の先生方や仲間内では「投球外傷といえば、ヨシだよな」と言われるように…大学院では全然違うコトを勉強していたのですが(笑)。(写真は、顧問の母校、カリフォルニア州立大学フラトン校と対戦直前のH大学野球部と…2001年3月)




それ以来、肩、肘の外傷に対する治療や予防とは切っても切れない関係になってしまいました。あるときは、肩や肘の治療やケアについて、母校の師匠から逆に教えを乞われたり、日本に戻ってからも途切れることなく小学生から大人まで様々な世代の方(多くは野球の方ですが)から肩や肘について相談をうける、あるいは実際に施術させていただく機会をもらえたりもしていますが、いまだに、肩や肘の外傷・障害について何か判った、と言えることは少なく、五里霧中を徒手空拳しつつ向き合っています。

さて、今日の卒業試験を監督しながら、この4年間を有意義に過ごせたと胸を張れるのは何人いるのだろう、という疑問がふと心に浮かびました。1年の時、顧問の部屋に来て「将来外国でXXの資格を取りたいんです」「授業外のこういう活動をしてこそ、関西医療大学に来た意味があると思ってます」と語ってくれた学生のうち何人かはその通りに進んで行きましたが、中には周囲に埋没したまま気がつくと卒業を迎えようとしている学生もいます。それぞれが有意義な時間だった、と思ってココを出て行ってくれるのであればいいのですが、もし「あの時もっと…」と思いながらであれば、やはり、それは顧問の指導者としての力不足を反省するべきところです…、もしかしたらその学生にとって、あまりにも現実離れしたアドバイスをしていたのかもしれない、とか。(写真は、LAで開業されているカイロプラクターで鍼灸師、内田友来先生のテクニックを学ぶMTIメンバーを含むHPS2期生)

顧問はバカですから、例えば学生から

「ニューヨーク、ヤンキースのヘッドアスレティックトレーナーになりたいです」

と聞くと、どうやればそれが実現できるかを本気で考えます。何をすれば、ヤンキースのマイナーリーグのアスレティックトレーナーの候補になれるか、は知っていますし、採用試験の面接くらいまでの道のりは示してあげられると思います。もちろんそれまでの過程や、採用された後ルーキーリーグのATCからメジャーのATCになるまでの努力は自分でしてもらわないといけませんが…(あ、日本で活躍した選手が移籍する際に一緒にヤンキース入りするには、という質問は、顧問には難しすぎて応じられませんので、あしからず、笑)。

17年前、柔道整復専門学校の卒業試験を最下位でくぐりぬけた顧問が今こうして大学で先生をやっているのですから、MTIメンバーに限らず関西医療大学の学生のみなさんは、顧問よりももっと大きく羽ばたけるはずだと思います。いつか何かの道において、顧問の方から逆に「XXは自分得意だよね、MTIの時に教えに来てよ、オレもそれ聞きたいし」と言わせて下さい、それが今の顧問の願いです。

今年最後の更新ですが、2013年が皆様にとって素晴らしい一年でありますように。

2 件のコメント:

  1. 2012年はMTIブログの価値といいますか・・完全凍結に近い形にしてしまったので本当に申し訳なく思います。2013年の目標の一つに定期的なブログの作成を目標としたい今日この頃です。大学3年目もあと数か月となった僕にとっては、重たい内容でした。将来のビジョンというのは・・究極的にいえば自分のなりたい形の概要はすこしわかっているんですよ。ただそれは50年後とか、両親が死んだあとの形で、数年後の自分のビジョンがかなり不明確です。三年生の残りの時間を使って、初心に戻り、自分を見つめなおしたいと思います。また、相談する機会があればよろしくお願いします。

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  2. 部長、本文に書けませんでしたが、学生(とくに学部生)の期間は、乾いたスポンジが水を吸って膨らむ、そういう時期です。卒業して、資格を取ってからもしばらくの間はそれが続きます。そして何年かして、吸い込んだ水を絞り出すべき場所や、タイミングが見つかるはずです。遠く先の光が見えているなら、それで充分、自然体でいきましょう。

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