2010年5月22日土曜日

我思う、故に我あり

MTIもメンバーが増えて賑やかになってきました。

ところが今年度が始まってからというもの、顧問はドタバタと猛烈に忙しい日々を過ごしています。教員という仕事はやろうと思えばいくらでもやることが増えていく仕事ではありますけど、今回の忙しさはワタシの時間の管理能力の問題で、06年―07年に米国の某球団にいたときを思うと、

「もっとうまくやれたのになあ」

と思うこともしばしばです。顧問があまりかまってあげられないなか(メンバーにかまってもらえないなか、の間違いでは?)メンバーたちはそれぞれに学びたいこと、というのが増えてきているようで、顧問としては嬉しい悲鳴です。とくにHPS3年のメンバーからは、

「外傷の検査法を学びたい」

とリクエストがありました。じつは、ワタシとくに検査法に関しては、かわいいメンバーたちの頼みとはいえ、おいそれと応えられない理由があります・・・


足関節捻挫の検査、ワタシが現場で普段使うものだけでも、

Anterior Drawer
Talar Tilt
Kleiger's

の3つと、普段使わない2つのテストをあわせて、ワタシの知る範囲では5つあります。

加えて、捻挫以外を確認するテストが10種類、さらにアライメントの確認6種類を合わせると、足関節だけで、21種類の徒手検査法があります。もっと運動の種類の多い関節、構造の複雑な関節、たとえば膝や肩なんて、それこそ数える気力もなくなるほど(だから例に足関節なんですけど、笑)です。

今ワタシの本棚にあるだけでも、タウンページくらいの厚さの検査法の本(洋書)が2冊、柔道整復理論の教科書くらいの厚さの(和書)が2冊、肩関節の検査法について書かれた論文のコピーと肘関節の検査について書かれた論文のコピーがそれぞれタウンページ1冊分程度ありますが、それでも全然網羅しきれていない状態で、まあ、抜け出せない迷路にはまるような、そんな怖さがあるのですね。

話はそれますが、

ワタシの夢というか目標の一つには、肩関節の検査法、だけで90分を15回話せるだけの知識を身につけるというのがあります。肩関節の不安定性改善の治療についてなら90分15回は話せる自信がありますので、通年で肩関節の検査から治療までを話せるようになれないかと、ない知恵を絞っているところでもあります。

ちなみに、あのジョーブ博士「が」尊敬されているといわれる兵庫の奥地で開業されている整形外科医、N先生(実際にLAのKerlan-Jobeクリニックの本棚にN先生の著書が飾られていました)なら、学士号が取れる124単位分肩について語れると思うので、目標を達成したところで、ワタシなんぞ足元にも及びませんけど・・・


話を戻して・・・

そんな検査法ですが、学びたい、という気持ちには応えないといけません。膨大な量があるといっても、普段の外傷の評価では、一件につき、用いる検査法は多くて4つくらいに絞れてくるわけです。では、それはなぜか?

外傷の検査は大きく分けて、

H: History 問診
O: Observation 視診
P: Palpation 触診
S: Special Test 検査法


の4段階があり、特に、いい問診、が取れれば、どこを診ればいいか、どこを触れればいいか、どの検査法を行えばいいか、がはっきりとしてきます。個人的な感覚としては、いい問診がとれれば、外傷評価の80%は終わったと言ってもいいかもしれません。

先の足関節でいくと、いい問診がとれなければ、外傷がなにか、を判別するために21種類の検査法全部やらないといけないうえに、仮にそうしたとしても、鑑別できるだけの材料は集まらない、ということなんです。

と、いうわけで、まずはいい問診とはなんぞや、からぼちぼちやっていきたいと思います。クラブの趣旨、Manual Therapyから少し離れる話ですけど、Manual Assessment / Examinationも「徒手」療法の一部には変わりませんから・・・

写真:役得とばかりにモデルになり、「日本でセミナー開くから講師で来て」と後ろに英語が解る長女がいるにも関わらず口説きにかかる顧問のだらしない姿(0.5ムラムラ)。

4 件のコメント:

  1. 急に検査法したいっていうてなんかすいません。
    いろいろと検査のことで調べてたら教科書以外にも色々かいてあってたのでやってみたいなと思いました!

    それにしても検査法だけでも90分を15回話せるなんてびっくりしました!
    次の活動は少し趣旨から離れますが、それを徒手療法につなげたらなと思います!

    部長

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  2. 先生、
    娘さんがいる前ぐらいはムラムラするのはやめましょうよ(笑)
    それにしても、先生の娘さんが通訳してたなんて驚きです…
    恐れ入りました。

    確かに、検査法とか人の体に触れて何かするっていうことは、ただ単に机の上で勉強するよりは何かやった気になります。だからつい、早く人の身体に触れたい!と思いがちですが、その前にやっておかなければならない事の方がよっぽど大事ですね。

    ちょっと違うかもしれませんが、1年の時の授業にほとんど実技的なものがなく、机上の講義ばっかりだったことや、MTIが2年生からしか入れないようにしてるのって、こういうことですよね?人の身体を触る前にやることあるやろ!!ってことですよね?

    MTIは幅広い分野で結構実践的に、現場で使えるような事を学ばせて頂けるし、先生もおっしゃるようにメンバーも増えて賑やかになって楽しいです!
    来週のMTI楽しみにしてます!

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  3. 部長:

    ちなみに専門学校の2年生に教えているのは上肢の軟部組織の検査法(2/3)と治療法(1/3・・・かなりダイジェストですけど)で通年です。

    できることなら上肢と下肢の検査法で、解剖の復習を含めて60回は講義したいところです。それでも脊柱という大物が残っていますけどね・・・脊柱・体幹の検査法だけで15回は欲しいけど、15回話せるほどまだ詳しくありません。

    >急に検査法したいっていうてなんかすいません。


    別に悪いことではなく、今HPSのカリキュラムでも弱いと個人的に感じていた分野なのでヤル気になってますからいいですけど、5メラメラくらい熱くなりますよ、覚悟しててください。

    小田さん:

    >娘さんがいる前ぐらいはムラムラするのはやめましょうよ(笑)

    その通り(児玉清風に読んで)、でも、済んだことだしそれに0.5だけなんで勘弁して(笑)。

    >MTIが2年生からしか入れないようにしてるのって、こういうことですよね?人の身体を触る前にやることあるやろ!!ってことですよね?

    さすがですね。個人的には、身体を触る前に、コミュニケーション能力だと思っています。

    って言っても、そういう顧問も大したことはありませんので、これはそれぞれが進行形で学んで行けばいいかなと思います。

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  4. なるほど。
    検査法を数え切れないほど知っておくことよりも、問診する能力を鍛えたほうがいいってことですね。

    たしかに患者さんや選手の話を聞くだけで、症状がわかったほうがカッコイイですね。
    説得力もある上に、選手の痛んでいる体に検査ばかりするのは嫌ですし。

    「身体を触る前に、コミュニケーション能力」

    名言ですね!!
    参考にします。

    今週のクラブ楽しみにしておきます。

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